宮古拾遺



スコールのような激しい雨と晴れ間とが1分ごとに入れ替わるような天気だった。


ところで東平安名崎には人力車がいる。
http://www7.ocn.ne.jp/~toya108/
駐車場から岬まで乗せてくれ、岬で三線を奏でてくれるのだ。


連れにも味わってもらおうと思っていたのだが、いつもなら車止にある露天のお店が出ていない。雨だからかな・・・と、テッポウユリの群生を通り抜けて灯台に向かう。灯台からは太平洋と東シナ海の境目を眺めることができるのだ。入場料を払うべく受付へと向かう。と、受付のお兄さんに見覚えが。


もしかして人力車の・・・?
そういうと、あちらも吃驚したように目を上げる。
聞けばGWであまりに忙しかったので今日は骨休みをしているとのこと。残念がると恐縮されてしまって、それもまた申し訳無いので97段の螺旋階段の攻略に掛かる。


最上階に辿り着くと再び雨。
外周をぐるりと回ってみるも、視界が煙ってしまっている。
これまた残念。


自然というのはそういうものだし、と降りると更に雨は酷くなっていた。すると受付のブースからやおらお兄さん(次女が高校卒業したとおっしゃってたが、なんとなくこう称してみる)が出て来た。


「一曲弾いてあげようかね」


灯台の螺旋階段がいい具合に反響するのだ、と再び階段へと我々を招じ入れる。


ちゃんと合いの手入れてね、と『島人ぬ宝』
それから『風になりたい』『ハイサイおじさん』『涙そうそう』『チョンチョン・キジムナー』


岬の風が渡る下で広がる音色を見送るのも良かったのだけど、この上へと抜ける薄暗い空間で奏でられる音の震えに身を浸すのはまた格別で。


思いも掛けない贈り物を胸に抱き、灯台を後にしたのだった。
灯台の入口ではお兄さんがいつまでも見送っていてくれていた。