Space for your future. SPACE FOR YOUR FUTURE - アートとデザインの遺伝子を組み替える@東京都現代美術館

期待しすぎたのがいけなかったか。
そもそもアートというのは『美』に代表されるような無形のものを伝えるために具現化するようなものであって、具現していることが前提の、突き詰められたアイディアには結果として美が宿るデザインと融合というのは本末転倒なわけで、だからこそ敢えてそれに挑むというのはどういうことなのだろうと思ったのだけど小手先感満載。

いくつか街のギャラリーで目にしたものもあって、ギャラリーという小さなスペースでならば違和感なく捉えられるものも、ここまで大風呂敷を広げたところにあるとみているほうが恥ずかしい。

学芸員(バイトか?)も、混雑整理に執心してしまっていて、インスタレーションの列を減らすべく「みてもがっかりするかもしれませんから並ばないで覗くだけにしてください」とアナウンスする始末。

それでもまあ、nendo(ここのカップ&ソーサーは可愛いのだ☆)の方の時計(これもプロダクトの美だと思うのだけどなぁ)や4Mのアルミ風船の揺らめきや、延々と自転車のタイヤを写した映像などは面白かったかも、なんて思いながら常設展に向かった。

まったく予備知識がなかったのだが岡本太郎の『明日の神話』がそこにはあった。

ただただ呆然と、眺め遣るばかり。

こういう問答無用の暴力的なまでの力を宿したものがアートであって、あんなぬるいものたちがアートなんて片腹痛い。

修復後のものだから、太郎が作成したものとは確実に違ったものではあるのだけど、この作品を蘇らせたいと願う人のエネルギーまでをも孕んでいる。

ノーフラッシュの撮影は許可されているので一眼レフ構えてしまったのだけど、それが目立たないほど作品の前の人々は作品に魅せられているようだった。

いいものを観た。
外に出ると雲ひとつない空に盈月が掛かっていて美しい。
いい感じだ。