朧の森に棲む鬼@新橋演舞場


マクベスを下敷きに朱天童子伝説を乗せたのかな。
お勉強せずに行った上に遅れてしまったのでキャストすらきちんと把握できないまま第一部。

素晴らしく歌舞いていらっしゃる。
実際『いのうえ歌舞伎』と称されてはいるけれど、それはおそらく染五郎さんを座長とした古田さんをはじめとした新感線の重鎮たちのなせる技。外部キャスト主役の古田さんら不在の新感線は普通の面白演劇に過ぎないから。キャストが、記号ではなくてきちんと象徴となっている。

花道を捌けるときの鎖(?)の音すら愛おしい。

特筆すべきは阿部サダヲさん。
凄みが、感じられた。
染五郎さんはもう、連綿と続く歌舞伎界によって培われたものがあるのを知っているで、所作の一つ一つの美しさに感嘆はすれども驚いたりはしないのだけど、私が最後にみた阿部さんはフットワークの軽い面白俳優だったのに、と感慨深く。よく考えたら古田さんも昔は舞台上で何かにつけてはもの食べてるおっちゃんだったのに、あそこまでの重みを身につけてしまったわけで。歳月や環境を身の裡に取り込んでいった強み、ということなのだろうな。

ところで今日は染五郎さんの34回目の誕生日ということで。
カーテンコール1回目で古田さんがMC。
用意は何もしてないんだよねーというと、禁止されてる舞台への献花を行う女性。困ってしまったけれど無視するわけにもいかない染五郎さんが受けていたのだけど、それがなかったら古田さんが何かしてくれたのではないのかなと、ちょっと口惜しい。

終演を告げる客席アナウンスを遮っての3回目のカーテンコールでスタンディングオベーション(それは新感線観客的様式美)

いやいや。
良い舞台初めでございました。

あ、でも、粟根まことさんのいじられっぷりが少ないのが残念だったかも。