アンリ・カルティエ=ブレッソン 知られざる全貌@東京国立近代美術館
入るなりの人混みもさることながら、写真そのものに居心地の悪さが。時折、良いと思える作品もあるものの、違和感を拭えず。
ヴィンテージ・プリント(最初の現像)コーナーにて、謎が解ける。
鮮やかすぎるのだ。
鮮明でない輪郭に纏っていたアトモスフィアが、綺麗に拭い去られている。それはあたかも、蛍光灯の下で漆器を観るような(谷崎潤一郎『陰影礼賛』)
街角に降り積もった記憶の、灼きついたかのような陰。
目蓋の裏に映る、観たことのない懐かしい光景。
それがすべて、晒されているのだ。
曖昧な光は、総て削除されて。
違う。
そうじゃない。
しかし、その捉え方もまた間違いではないと認めなければならない。
それが、『表現』なのだから。
ぐったりとして、でも常設展も覗いてみる。
近代美術館の四階休憩室は御堀端を望む素敵な読書スペース。
うっかり荷物をロッカーに預けてしまったのだけど、今度来るときは腰を据えて本を読もう。
常設展は基本的に流し観てしまうのだけど、唯一足を止めた作品が。
草間弥生さん。
ちょっと負けた心持ちと、だからこそ好きになってしまう心持ち。